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『精神科のナースになったわけ』(イースト・プレス)

ヘヴィ~な内容ではあるものの淡々とした語り口で、かつ、漫画なのでさら~っと読めます。でも内容はやっぱり重いです。(笑)

 

”何が狂ってるのか狂ってないのかわかんないですね”

自身も鬱病を経験をしたのち、看護師となって希望して精神病院で働くことになった女性の目線で語られています。(複数の方に取材して作られたようなので実在のひとりの方なのかどうかは不明。) あるとき統合失調症の方が作った「幻聴妄想かるた」というものに興味を持ち、それを制作している支援団体の様子を見学に行くという章があるのですが、その最後に彼女が発したのが「何が狂ってるのか」わからない、というこの言葉です。

支援団体の活動は、お安めの値段設定の昼食の提供、グループミーティングなどを通して問題解決の糸口を一緒に探していくこと、など。統合失調症の症状に興味があるならやってみますか?と言われて体験した、「幻聴体験」というものが紹介されています。目の前の人となんてことない会話をしているときに、自分の後ろには複数に人が立っていて(←幻聴役)、ひっきりなしに脈絡のないことをしゃべり続けます。「お前は〇〇(有名人)の子供だ!」「そいつは敵だ!」などなど・・・。考えただけでもうざ~い。(笑)

「幻聴かるた」の中にあった【生きたいから 生きづらいと 死にたく なるんだよ】という作品に惹かれてその団体を訪れるというストーリーなのですが、こちらは希死念慮が強いひとの作品で、死にたくなってしまうときについてというテーマで行われたミーティングで出てきたものなのだそう。シンプルで妙に腑に落ちる言葉ですよね。相田みつを風の文字で書いてほしい感じ。

以前ワークショップをやった時に一般の方が作った作品もあるんですよ、って見せられたものがいくつか出てくるのですが、それを読んだ看護師さんが「あんま変わんなくない?何が狂ってるのかわからない」ってなって、この章が終わります。その一般の方の作品というのをひとつ引用します。

【うずくまると 首が落ちてる】(どういうこと・・・・?!)

 ・・・うん、確かに。あんま変わらんくない?って思いますわ。(笑) 実際、正気と狂気の境目って何なんでしょうね。非社会的行動はしない狂人だっていそうですよね。私自身も正気なのか、ちょっとわからないところがあります。

およそ100人に1人弱

統合失調症って実はそんなに珍しい病気ではないんですね。「およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。」(by厚生労働省)ですって。自分自身や身近な人がかかることも十分あり得そう…。実際に目の前にしたらどう応対をしたらいいのかって難しいところですね。良くも悪くもめちゃくちゃピュアな私のある友人は、統合失調症の(と思われる)友達の紡ぎだすストーリーをしばらくの期間まるまる信じていたことがあったって言ってました。結構巧妙な「設定」があったりするし、ちょっと辻褄が合わなかったりしても「こういうことかな?」って補完して聞いちゃうんでしょうね。

だいたい血行

ここに出てくる、ある精神科医がボソッと言った言葉、「だいたい血行」! これはもうホントそれ、としか言いようがない。(さらにヨガ人間として「だから呼吸が大事」も付け加えたい。)昔、鬱がそこまでメジャーではなかった頃、海外駐在中に鬱で医者にかかった知り合いがいたのですが、どんな治療法なの?と聞いたら、「朝起きて運動しろって言われた」みたいなことを言っていて、当時はちょっとズッコケたのですが、今思えばとても的を射ていたな、と。

精神病院ってケアする側にとってもキツイ環境ですから、実は自分自身も病院に通われているなんてことがあるそうです。患者さん訪問するための移動中の車内ではロックな曲をガンガンかける、とか、車降りたらお宅までは猛ダッシュ(身体動かすの大事です!)、とか、このお医者さんが患者さんの空気に引っ張られてしまわないようにしている工夫、それは私たちにとってもヒントにもなるような気がしました。

結局、自分

自傷行為を繰り返す患者さんのケアについて、「自傷行為も本人の意志なのだからケアする側が悪いのではなく本人のせい」だと看護師長さんが言う場面がありました。冷たいようだけど、気を引くための自傷行為→あたふたとリアクションする、の繰り返しではきちんとしたコミュニケーションにならないので、確かに解決は遠い気はします。その行為の内側にある自分の気持ちに気づき、それは他のやり方で表現できることを知っていくことが大事なんでしょう。